脳神経外科の手術の長さはまちまちではあるが、
頭蓋底の脳腫瘍の手術や、血管に富む腫瘍の手術では、 10時間を越えることもままある。 朝9時前から始まって午後7時に終わればまだいいが、 終わるのが夜半すぎということも時にある。 昼を抜かして働き続けることは、 手術以外でも多いので慣れてしまうが、 昼も夜も抜かして、手先に集中していると かなり疲労してくるものである。 そういうときに以前よくやっていたのが、 夕方近くに看護婦に糖分のある飲み物を買ってきてもらい、 (或いは医局の秘書さんに届けてもらい) 通常はおしっこの管で使う尿道カテーテル(もちろん新品)の根元を 缶の飲み口に入れて、その先をマスクの中に差し込んでもらうというもの。 手は清潔なので使えず、器用に口を廻して カテーテルの先をキャッチするわけである。 そこから飲む飲料は格別である。 糖分と水分が体に染み渡って、生き返っていくのを実感する。 現金なことにたったこれだけのことで、またやる気と集中力が回復し、 最後まで手を抜かずに手術を続けられるわけである。 最近は感染コントロールなどの問題で、多分廃止される方向であろうが、 缶一本をあんなにおいしく感謝して飲める機会は、 普通の生活の場ではまずないと思う。
by decoppati
| 2004-12-26 15:25
| 脳外科の仕事
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