レジデントのとき人より手術に多く入るには。

外科系のレジデント(研修医)にとって寝ずに食べれずに
一生懸命働いていることに対する一番嬉しいご褒美は
手術に入れてもらって、新しいことを学ぶこと、
手を動かさせてもらうことである。
少しでも手伝わせてもらう機会を多く持つことは
レジデント仕事の大きな報酬となる。

毎日毎日病棟での仕事ばかりになると、
レジデントでも腐ってくる。
脳神経外科の場合、術野が非常に狭いので(頭や首だけ!)
通常2人、研修医を入れる場合でも多くて3人で手術を行う。
また、3人で手術する羽目になると、
まん中に立つのは大抵レジデントで
道具をとりにくく、居心地が悪く、
下手に手を出すと先輩に怒鳴られるため
ただ突っ立っていたほうがいいような気分になるものである。
その結果ふて腐れて立っている羽目になることもある。

自分がレジデントのときの嬉しかった体験がある。
レジデント同士が同じ手術に入ることがないので
他の人がどう振る舞っているのか知る由もなかった。
先輩と一緒に手術に入る機会を得ても
術者から指示がない限り怒られるのがいやで
指示があるまでじっとしている人も多かったようだ。

私はといえば、
長時間じっとしているほうが苦痛なので
なにも指示されていないのに術者が次に何をしようとしているか、
何をしてあげたら無駄な動きがなくていいのか、楽なのかを
ずーっと推察しつつ、手を動かしていってみた。

邪魔なときは邪魔といわれるため、
これでタイミングや術者の癖や性格を覚えた。
それより、結構ツボにはまっていたようで、
術者からは「やりやすい」と褒めてもらえるようになり
教授などの手術の助手に推してもらえることが増えた。
また、手術のときに足手纏いにならないために、
ある程度の糸結びや糸が緩まない練習は最低限しておいた。

こうなると、レジデントが沢山いても
術者から直接声がかかることが確実に増える。
そういうときに他のレジデントから
やっかみの声がでたりするわけで
とんちんかんなことに「女だから重用されてる」
とさえいわれたものだが、同期の女性にはそれがあたらず、
また、直接先輩達から
「だって手術がスムーズで早くなるから選ぶのだ」といわれ、
溜飲を下げた。

今、自分が術者になって思うが、
やはり自主性のあるレジデントは教えやすい。
手を動かさない者に「ここをこうやれ、ああやれ」
といちいち指示するより、
ちょっとは勉強してきて、手伝ってくれようとしたり、
考えながら自分から手を動かしている者に
「そこは触っちゃだめ。これはやっちゃだめ。」と止めるのは簡単で、
「もっとこんなかんじで。」
と指示する方がはるかに簡単で教えがいがある。
だからといって、決して機会を不均一にすることはしないが、
教える方も人間であるから、明け方の手術ともなると、
できの悪いレジデントと入って時間を浪費するぐらいなら、
と、そういうレジデントのときは呼ばずに、
一人で手術してしまうのである。
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by decoppati | 2005-01-06 00:13 | 脳外科の仕事
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