仕事での体力

一般にやはり体格の勝る男性のほうが体力もありそうに思うが、
それがあながちそうともいえない。
アスリートやプロレスラーなどの体力という意味ではなくて、
救急現場で必要な体力は、
いかに多忙で寝不足が続き、どんなに空腹が続いても
仕事中には大体ムラなく仕事を綿密にこなし、
周囲に当り散らすことなく平静を保つという類のものである。

この仕事をしてむしろ先輩たちに指摘されて初めてわかったのが、
「女性のほうがこういう類の体力がある」
かもしれないということである。
これは入局してどこの施設でもいわれてきた。

一般的に人間というもの、やっぱり寝ていなくて、食べていなければ、
まずいらいらするし、仕事が億劫になるし、雑になる。
だが、そんな同級のレジデントたちを尻目に同期の女医さんもわたしも
結構、セルフコントロールすることに成功していたようで、
明るく楽しそうにみえていたようだ。
やはり伊達に男性より脂肪がついているわけではない。
らくだみたいなものだ。

逆に多忙、寝不足、空腹に極端に弱い人もかなり多い。
そういうときに大きなムラがでるというのは困った問題で、
あたった患者さんは迷惑である。

ただ救急現場では、
3日3晩働きづめで一睡もしておらず、
まともな食事もとれず、丸一日以上固形物を摂取する時間がとれない
というような究極の状態もままある。

こういう事態になってみてはじめて気が付いたことがある。
こういうときは全身の筋肉が疲労のあまりだるくなってしまい、
挙句、顎の筋肉さえだるくて動かすのにかなり労力を要するようになる。
だからやっと時間ができて食事をとれることになっても、
咀嚼のために顎を動かすのが結構大変である。
普通の生活をしているとわからない。
男性の下級生などではこういう究極の疲労状態になると
気持ち悪くなったといって、ご飯の時間にちゃんと食事をとらず、
その時間も惜しんで寝ていたいという人もでる。
その結果、男性医師ではこういう忙しい施設にいると
どんどんやせていく人が多い。(その点だけはうらやましい。)
また、そのため体力も落ちて悪循環となる。

寝られないときは、だるくても食べる。
食べられないときは、寸暇を惜しんで寝る。
どっちもできるならできるときにしておく、というのが
超多忙施設にいるときに自分で課している心得であるが、
幸い、今まで倒れたり、仕事を休んだりしたことがない。
(その結果、そういう施設にいるときはなぜか体重がぐんぐん増える。
 次にいつ食べられるかわからないといった焦燥感がつのり、
 食べられる度に大食いしていいのだという誤った考えを
 自己正当化しているため。)
なにより丈夫な体に育ててくれた両親にいまさらながら感謝である。
しかし、こんな究極の状況でも、当然ながら間違いは許されないわけで、
緊張感からくる気力というのがどんなときにも一番大切かも知れない。
[PR]
by decoppati | 2005-01-08 02:41 | 女性のハンディ
<< 当直室にお化けがでる? 脳神経外科では力が要らない。 >>