異動の引越

今は研修医システム自体が大幅に変更されたため、
最初の2年の過ごし方が全く変わってしまったが、
以前私の属する大学の医局では
専門医試験前の約6年間の間、
大体6ヶ月周期でブランチの病院を廻されていった。

ブランチというのは、大学の医局が
ある程度の規模の病院の脳神経外科を押さえていて、
そこに大学から人員をユニットで派遣する、
「支店」のようなものだ。
そんなわけで、専門医前に大体10病院近く勤務することになる。
各々の病院はいい具合で離れており、
異動先によっては引越を繰り返すことになる。

そしてその異動というのがまた傑作で、
たとえば6月1日から新しい病院に勤務する場合、
5月31日の夜までは前の病院に勤務して、
それが終わってから、遠くにある
次の病院の明日の勤務に向けて動くことになる。
脳外科の仕事は緊急が多く、
最後の最後まで手術に入ったりして
異動のために1日の休みをもらえることなど、なかった。

ときに異動前に緊急手術や当直がたてこんで
3日家に帰れなくなったりするので、
荷物の整理さえ、最終日の夜までできないこともある。

そこで、どうしたかというと、
①たかが6ヶ月の生活なのでまずは荷物自体を少なくする。
②異動が決まったら(これがまた2週間前のこともある)
 そこから休暇となる数少ない日にちびちび荷物の整理をして
 最終日前に異動先に連絡しておいて宅急便で送ってしまう。
③最後は車一台に積み込める分だけ残せばゆうゆう持っていける。
 意外と普通乗用車でも荷物は入る。
 後部座席も助手席も荷物でいっぱいになるが
 TVもビデオもコンピュータだって大丈夫。
④どうせ仕事で寝ないのには慣れているので、
 運転する体力を残せばどうにかなる。

いやはや、まあ、よくやったものだ。

今では研修中の人たちの「人権」が尊重されるようなった。
彼らには、最後半日以上、できれば1日、
異動のための休暇を与えるように心がけている。
異動の苦労を下級生に味あわせる必要はない。
残る人間が1日ぐらい、居ない人の分をカバーすることはわけないことだ。
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by decoppati | 2004-12-05 01:24 | 脳外科の仕事
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