ドラマ雑感

結構、看護婦さんや患者さんは医療ドラマがお好きなようで、
いろいろな現実の場面で、ドラマのシーンの話がでる。
わたしはほとんどTVドラマを観ない。
昔から特に医療もののドラマは観る気にならず、
チャンネル変えている途中でちょっと手を止める程度で、
そのうち耐えられずに変えてしまう。
このところニュース、ドキュメンタリー以外、
TVを観ないのに拍車がかかったからなおさらである。
なんで観たくないかというと、全ての面において
あまりに現実離れしすぎていてバカバカしくなるからであった。

症例や人間関係が現実離れしているのは、結構。
しかし、一番鼻白むのは、
レジデントや下位の医師がまるででくのぼうに描かれ、
患者について上の医者にいちいち質問したり、
何かある度に必要以上におたおたしたり、
変なタイミングでおどけてたりすること。

これは、こういう下位の医師にさせる度々のくだらない質問が
設定や状況、病状や手術法などをドラマの視聴者に対して
こと細かに説明する重要な役目を担っているからだと思われる。

だが。
実際にこんなレジデントがいたら、いや学生でさえ、八つ裂きである。
学生のときでさえ、なにも考えずに
漠然と質問することは憚られる世界である。
もし、学生が不用意に「これは一体なんですか?」
なんて質問しようもんなら、上の医者や講師、助教授、教授に
「そんなに勉強しないでいると、今に患者殺すぞ。」と強くなじられ、
「調べられるところは自分で調べ、勉強してから聞けよ。」
と言われるわけである。
質問したいときは、わかる範囲で調べた上で
それでもわからないことだけを抽出して、かなり絞って聞くものだ。

NHK(BSだったかも)でアメリカの「ER」が始まったときも
全く観るつもりがなかった。ただ、周りの人たちのはまり方がすごくて、
結局、看護婦が当直してる私の待機室に無理矢理ビデオを持ってきて、
一緒に観た挙げ句、何本か貸してくれた。
確かにERは観ていることができた。(もう数年観ていないが。)

「ER」を観ていて私が面白いと感じられる大きな理由の一つは
余計な説明がいちいち無いことであった。
このおかげでレジデントや若い医者がうさんくさくならず、
まるでどこか本当の救急外来のある日のように感じられる。

日本の医療ドラマで老婆心めいて、くどくど説明されていた事項は
「ER」では全く説明なしに流れているわけだが、
それでも明らかに医療関係以外の人々がかなり楽しんでいるのを
みるとそんなに細かい説明は要らないのかもしれない。
(例えば、患者の搬送シーンではGlasgow Coma Scaleを
 なんの説明もなく、実際の現場と同じように救急隊が告げる。
 素人は全くわからないが、気にしていない。
 わからなくても患者の様子をみれば
 なんとなくわかるようになっている。)

まあ、ドラマの制作現場では内容や質なんかより、
視聴率がとれさえすればいいのだろう。
しかし、刑事物にしても医療ものにしても、
その職種に対してのリスペクトを欠いているものが多い。
視聴者はドラマの作り手が思っているよりも理解力がありそうだ。
あまりに設定のぶれたドラマやおちゃらけは
視聴者蔑視の裏返しでしかないことを
ドラマの作り手の肝に銘じて欲しい。
そして良質のドラマが視聴者の心をとらえることを祈る。
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by decoppati | 2005-01-20 01:18 | 脳外科の仕事
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