脳外科疾患の宿命

脳は再生困難な臓器であるために、(実験と臨床は別)
脳外科にやってくるような疾患では
発症と同時に運命が決定付けられることが多い。
脳は場所によって多岐多彩な機能を担っているので
やられた場所によって出てくる症状が違う。
ただ、人によってマップが全く違うわけではなく、
おおまかにはどこにどの機能というのは判明しており、
大体のところは同じである。

誰であっても病院にたどり着く前に
修正不能なほどに脳の損傷が与えられてしまうと
どんなに手をつくしても元に戻ることはない。
ただ、「元に戻れなく」ても、救命されるように治療が行われる。
損傷された場所をみれば最低限
どんな後遺症が残るのかは予測ができる。
ただでさえ、亡くなるような重症も多いわけで
喋れなくなったり、嗅覚・視覚・聴覚に障害を負ったり、
意識が悪いまま植物状態で経過したり、
どちらかの上下肢の運動が妨げられたりと
大きな障害が残ることがすごく多い。
例外的に、幼児や若年者では回復が非常によく、
もともと血管奇形などがある人の一部などでは
予測できないほど改善する人もいる。

死んでしまったらそれまでだが、
生きていれば症状が改善する可能性が残る。
障害とともに生活していくのは本人にとっても家族にとっても
非常に大変なことであるが、
生きている限りはなにかしら張り合いや楽しみを持っていただけるよう
バックアップするのも脳外科の仕事のうちである。
「手術が成功する」のと、
「元通りに戻る」のが別意であることが多いこの仕事、
独りよがりにならず、人の身になって
きめ細かい目配りができるよう気をつけていきたいものである。
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by decoppati | 2006-05-04 06:38 | 脳外科の仕事
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