ホームレス

こと医療に関する限り、日本ではホームレスこそ
最高のもてなしを受けることができる。

救急現場では毎日毎日多くのホームレスが運ばれてくる。
路上に寝ていたり、アルコールをたらふく飲んで
転倒したりして頭から血を流しているのをのを
通りがかりの誰かが救急要請して過ぎ去ったりするのである。
本人が拒否しようが、救急車はとりあえず病院に連れてくる。
ものすごい頭部外傷を負っていたり、脳内出血や脳梗塞などで
倒れていることもある。
最近は昔ほどものすごい臭気や汚染の強いホームレスは多くないが、
それでもシラミや疥癬を持っていることも多く、
汚染がひどい場合には救急室に入る前にシャワーを浴びていただく。
(他の患者さんにうつらないように!)
なまじっか貯金や生命保険などがある普通の人は
治療費がかさんで困っても生活保護にはなれないが、
ホームレスは即座に生活保護が受けられる。
お陰で必要な治療をなんの制約も悩みもなく受けられるのである。
よもや後遺症が残ってもリハビリ病院にも行かれるし、
その後、アパートなども福祉で見つけてもらえる。

こういう状況をみるにつけ、
一人暮らしで倒れてなんの保証もなくなるのなら
いっそ貯金や生命保険などをせずにいて、
病気になったら生活保護を申請したほうが
ずっとましだとも思える。それほど厚い福祉を享受できる。
なんだかおかしい世の中なのである。

ホームレスはそれなりに自活している人が多く、
環境上、人間付き合いに慣れているので、
病棟にいると、大暴れする患者を押さえてくれたり、
他の患者の話し相手になったり、看護婦さんの仕事を手伝ったりして
結構、いいムードメーカーになることもある。
またドタ袋一つが家財道具一式なので、
その中からなんでもでてきて「ドラえもん」よろしく、
同室者の役に立って微笑ましい。
毎日、心配した仲間が連れだって来るので、
家族がたまにしか来ない普通の人より見舞いが多い。
都会の大きな駅前ロータリーのホームレスの群れから
「よお、先生ー」とか笑顔で屈託なく手を振ってくれちゃったりして
なんだか憎めないひとたちでもある。

どんなであれ、みんな人間なのだから
お互い助け合えばいいのではないだろうか。
ただし、ホームレスにもいろいろいて、
アル中や精神異常者、生活保護に甘んじてる怠け者、
こそ泥の癖がある人などしょうもないのもやっぱり多いから、
一概に十把ひとからげにはできない。
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by decoppati | 2005-01-26 22:51 | 脳外科の仕事
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