2004年 12月 26日 ( 2 )

噂好き

医局の中で仕事以外の話といえば一にも二にも、
人の噂である。
それも常軌を逸していると思えるほど、
根も葉もない噂を創造しては
流すのに情熱を傾けている人がいる。
上司にうけたいという歪んだ上昇志向の賜物である。
幹部も若い医局員とうちとけたいと思って言うようだ。

大体、作話されるのは下品なネタや男女関係に関することである。
ときに上司の悪口を誰かがいっていた、といった
人事さえも左右する悪質なデマをとばされることもある。
ある意味で、女の医局員なんて、
簡単に面白デマ話が構築できるターゲットなので便利な存在である。

火のないところに煙はたたない、というが、
火がなくても煙が立つ全く恐ろしい噂大好き社会である。
やはり、年がら年中同じ面子で過ごさざるを得ず、
とりまく世界がものすごく狭まって、
第三者的に物事が見えなくなっているのも一因であろう。
よく言えば、ストイックに脳外科の仕事に完全に没頭・専念しているため、
他分野の人との付き合いや、趣味が理解できない、ともいえる。

たとえば、「decoppatiは、黒人と乱交してる」とか
「パンツはいてない」、とか、
「人事のことでお偉いさんに泣きついて、うまくやってもらった」、
「見る影もなく太って、小錦級になった」
とかそういうアホらしいことばかりである。

わたしは誰かの噂を聞いたとき、
最初に思うのは、また作り話だろう、ということだ。
自分に関することがまことしやかにいろいろ作られたのを知っているだけに
他の人のも鵜呑みにする気になれないからだ。

しかし、そうは問屋が卸さない。
意外にも、作り話をあまり疑わず、あるいは作り話と知って、
単純に噂話を楽しむ人は多い。
そういう人たちは、その話の真贋なんて最初から眼中にない。

自分のデマがとんだら、あまりの馬鹿馬鹿しさに
いちいち真面目に抗議する気もしないので
あまりにひどければちょっとは訂正するが、あとはほっとく。
あまり面と向かって真相について直撃してくれないので、
長年のうちに何故か医局内では
自分でない自分が一人歩きしてしまうきらいがあるが、
まあ、言わせておく。
大概は、悪意でなく、ただその場の悪ノリで言われているだけで、
別にいじめられているわけではない。

でも、医局に女の子が来たら、
一番げんなりするのはこれだろうなあ。
精神的な図太さは必要だと思う。
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by decoppati | 2004-12-26 23:43 | 男性医師の生態

長い手術のときの栄養補給

脳神経外科の手術の長さはまちまちではあるが、
頭蓋底の脳腫瘍の手術や、血管に富む腫瘍の手術では、
10時間を越えることもままある。
朝9時前から始まって午後7時に終わればまだいいが、
終わるのが夜半すぎということも時にある。

昼を抜かして働き続けることは、
手術以外でも多いので慣れてしまうが、
昼も夜も抜かして、手先に集中していると
かなり疲労してくるものである。

そういうときに以前よくやっていたのが、
夕方近くに看護婦に糖分のある飲み物を買ってきてもらい、
(或いは医局の秘書さんに届けてもらい)
通常はおしっこの管で使う尿道カテーテル(もちろん新品)の根元を
缶の飲み口に入れて、その先をマスクの中に差し込んでもらうというもの。
手は清潔なので使えず、器用に口を廻して
カテーテルの先をキャッチするわけである。
そこから飲む飲料は格別である。
糖分と水分が体に染み渡って、生き返っていくのを実感する。
現金なことにたったこれだけのことで、またやる気と集中力が回復し、
最後まで手を抜かずに手術を続けられるわけである。
最近は感染コントロールなどの問題で、多分廃止される方向であろうが、
缶一本をあんなにおいしく感謝して飲める機会は、
普通の生活の場ではまずないと思う。
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by decoppati | 2004-12-26 15:25 | 脳外科の仕事