2005年 02月 21日 ( 1 )

救急搬送される心肺停止の症例

Excite ニュース : 遺体安置室で生存判明
救急搬送される心肺停止状態の症例はさまざまである。
例えば、墜落の症例では、(自殺しようとビルから飛び降りるなど)
「墜落するところを見た人からの通報でたった今発生した」場合と
「いつ墜落したかわからないが、
 地面にあらぬ形で横たわっているのを発見された」場合では
患者の状態や蘇生される可能性が大きく異なる。
申し訳ないが、もう死後硬直が始まっているような症例さえ
救急車で搬送されてくることもあり、
そういう人を復活させることは不可能である。

監察医務院を擁する東京都下と
その他の県下ではまたちょっと扱い方が異なる。
都以外では、もし心肺停止状態の人が
病院搬送後に死亡確認された場合、
そのまま警察がやってきて病院内で検視が行われ、
それにずっとつきあう羽目になることが多い。
だから心肺停止で、状況がちょっと怪しい場合、
救急車の中で状態を厳重に調べてみて、
絶対に復活させることが不可能な症例は
死亡確認した上で、そのまま警察に行っていただくこともある。
(頭蓋骨の巨大な裂け目から脳が大きく飛び出していたり、
 脊椎がグニャグニャに折れて、骨が飛び出している、
 頭部がぺっしゃんこにつぶれている、等)
ただし、都下では上記のような症例でも救急室に運び込んで、
処置を求められることが多々ある。
もちろん通常の心肺停止状態では蘇生を施せば
心臓の鼓動を再開することが多いため、
簡単に諦めることはしない。
特に小児では、奇跡のようなことが起きるので絶対に諦めない。
しかし、上に挙げたような極端に変形してしまっている症例では
どう治すというのか、救急隊に問いたい気になることもある。
本当は通報を受けて現場でそんな大きな変形、損傷を確認したら、
実際には即死状態なのであって、
これに限っては警察に直行してもらったほうがよい。
...というほど、律儀に東京の救急隊はどんな例でも
病院に搬送してくるのである。

だから、今回のニュースや長崎の同級生にナイフでやられた女の子が
救急隊の判断で警察に直行したと聞くと、
非常に違和感がある。
蘇生成功する症例を判断するのは容易でない。
よもや心肺再開しても植物状態で生き残る可能性が高いわけだが、
そういう究極の選択肢しか残っていないとしても、
救急隊のみで判断を下すべきことではない。
やはり地方では特殊な事情が隠されているのだろうか?
それとも救急隊の質の問題なのであろうか?
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by decoppati | 2005-02-21 00:08 | 脳外科の仕事