<   2004年 12月 ( 29 )   > この月の画像一覧

止まってくれないタクシー

つい最近まで不況でどん底だったので、
タクシーもたとえワンメーターだとしても
嫌な顔をしなくなって女性に優しくなったが、
バブルの終焉頃から不況になる前のタクシー事情は最悪だった。

20連直(病院での正規の当直が20日続くこと。他の病院も併せて
とにかく20日以上自宅に帰ることができず、病院に缶詰になる)
なんていう狂気の沙汰をさせられていた研修医の頃。

数少ない、自宅に帰れる日も別段早く帰れるわけではなく、
早くて午後11時頃に帰途につくのだったが、
交通機関がある時間ならまだしも、
それが午前1時、2時、3時頃になることもままあった。
こういうときにも、もう20日以上自宅に帰れず、
明日からも病院での缶詰が続くとなると、
自分のベッドでコールを気にせずに寝られることだけを夢見て、
帰るのにどんなに時間がかかっても、
睡眠時間が少なくなっても、病院に泊まるのではなく、
どうしても自宅に帰りたくなるのだった。

そんなとき帰る手段はタクシーだけなのだが、
これがまた本当に止まってくれなくてひどかった。
その頃のタクシーは、お大臣商売をしていて、
女性はワンメーターが多いからという理由で
みてもみぬふり、目の前でUターン、
空車を倒して「回送」にするなど、
ありとあらゆる手を駆使して、素通りすることが多かった。
12時台に仕事が終わって午前1-2時頃帰る準夜の看護婦さんは
病院からタクシー代の支給があるのをタクシー運転手もよく知っており、
この時間だけは病院の前にタクシーが連なる。
この時間に帰れさえすれば問題はないのだが、
通常、病院を2時にでても路上で待つこと30分なんてざらであった。
(ちなみに病院は都心の大通りに面しており、タクシーは豊富に通る)

忘れもしない雪の日。
昨日のようにすごく寒いのに20日前の服装のままで
降りしきる雪の中を寒さに凍えながら立っていたが、
空車のタクシーが全然止まってくれない。
1時間も立っていたら、やっと一台のタクシーが止まってくれて、
いうことには、
「おねえさん、さっきここ通ったときも立ってたから根負けした。
 普通は女性は近い距離しか乗らないから無視するんだけど。」
と。そういえば、
男子の同期からタクシーを捕まえる苦労を聞いたことがなかった。

そういうことで、その後助手に上がって大学に再び勤務したときには
医局に割り当てられた駐車場が空いた瞬間に
わたしはそれを死守し、以降自家用車通勤を開始したのだった。
[PR]
by decoppati | 2004-12-31 00:03 | 女性のハンディ

看護婦さん.3

看護婦さんというのは専門職であって、
仕事しながら新しいことを継続して勉強していく必要があり、
プライドを持てる素晴らしい仕事である。
資格を取るために、また、一人前になるために、
多くの時間を辛い勉強に割いてきている人たちである。

ただ、彼女たちが結婚するときに、
いつも興味深いなあ、と思う現象がある。

結婚して名前が変わって、仕事を当然の如く続けて
キャリアを積み重ね、自信を得ていく人達が沢山居る一方で、
なぜか、医者と結婚した看護婦さんは、
きっぱりと仕事を辞めてしまうことが、明らかに多い。
もったいない。
なぜなんだろう?

つい昨日まで一緒に働いていた
頑張りやで仲の良かった同期同士が結婚を機に、
「医者の奥さん」と看護婦さんへと立場が微妙に変化してしまう。
医者の奥さんになったほうは、
昨日まで「00先生」と呼んでいた旦那の下級生を
「00君」と呼んだりするようになる。
同期で看護婦を続けているほうは、相変わらずであるから、
双六の上がりみたいな感覚のように感じられる。

研修医や勤務医の収入はたいしたことがないので、
旦那の収入に起因するのでないのは明らかだ。
結婚してバリバリ働いている看護婦さんの旦那さんが、
一流企業の商社マンや銀行マンだったりすることは多く、
彼らのほうが医者より収入が高いはずだ。

もちろん夜勤などをしにくくなる関係で、
結婚した看護婦さんたちは外来などに異動することが多い。
同じ病院でも異動すれば、同じ職場で一緒に働くことはないし、
一緒に働くのに難があれば、病院を変わることもできるはずだ。

男の医者に超保守的な人が多くて、
女は仕事などせずに、うちを守ってくれ、と言うのだろうか?

個人的には、有能な看護婦さんで、
未婚のときにいろいろ将来の夢を語っていた人が、
かたや、家に籠もっておさんどんだけをして、
旦那の愚痴と子供の話だけがトピックになってしまい、
かたや、病院や医院や、他のフィールドで、
看護婦さんとしてのキャリアを確実に積み上げて、
自信に満ちて充実した社会生活と家庭生活を営んでいるのをみると、
疑問に思わざるをえない。

なんで医者と結婚した看護婦さんは、仕事をやめちゃうのだろう?
[PR]
by decoppati | 2004-12-28 23:14 | 女性にもいろいろ

さもしい根性に気分が悪くなる。

医療関係者への謝礼

どんなに給料が安くても、謝礼ははっきり言ってなくていいのです。
もらってももらわなくても治療に差などありません。
真面目な話、どの患者さんにも
できる限り最善の処置や治療をする訓練を受けているから、
貴賎なく、全ての症例に全力を尽くすのは当たり前のことです。

お金などもらわなくても、必要なときには説明をするし、
面会のときに御家族に会えば、話もします。
わたしの場合、いただいてしまうと、その患者の部屋に行くのが
却って嫌になってしまいます。
ただ、きっぱりと断っても、押し問答になってしまって、
せっかく培った信頼関係が揺らいでしまいそうになることもあり、
完全にいただかないことは本当に難しいものです。
システム的に公立などでは、一旦もらってしまっても、
事務方に廻せば、自動的に丁重な手紙とともに付き返してくれます。
それでも、返されたほうは気分が悪いだろうなあ、とも思いますが、
これは公務員法の縛りのため仕方がありません。

しかし、多くの病院では
科や専門医資格の有無によって給料に差がないのも
こういうお金を当てにする輩が出る素地になっているかもしれません。
とても暇で、日中から医局に座ってずっと新聞読んでたり、
コンピュータゲームしたりして、9-5時で帰る医者
がいる一方で、
一日中ずーっと走り回って、手術して、
夜中も呼ばれてやってきてまた手術して、終わっても終わっても
また患者が来ててんてこ舞いしてる医者

経験年数によってすべて均一の給料です。

残業代はもらえないのが当たり前(慣例?)なので、
睡眠も削り、残業代もなしで、
夜中に呼ばれていわばサービスで手術した患者に
直接お礼をもらったりするのを当然と感じるのは
仕方がないことかもしれません。
病院のシステム自体が変わらない限り、問題は解決しないことでしょう。
出来高制度を導入することを検討している病院もあるようですから、
是非とも働いている量を勘案して適正な給料を出してもらいたいものです。

それにしても、人間、どこまで忙しくても、寝ていなくても、
さもしい根性にはなりません。
面白いことにこういうさもしい根性を持っている医師は
かえって患者の家族から白い目で見られることが多く、
逆に無欲の人に信頼が集まることも多いものです。
医師である前に、情緒をみがき、少なくとも
生き方に美学をもつことが大切だと思います。
[PR]
by decoppati | 2004-12-27 13:36 | 脳外科の仕事

刺青

夜、時間外診療を受けにくる人はさまざまであるが、
「その筋」の人がやってくることも多い。
刑務所や留置所から腰縄つき、警官5-6人つきでやってくることもあるが、
ふらーっと来て、数日前からの頭痛を訴えることも多い。

大抵の場合、当然のごとく別段問題なく普通に診療は終了するが、
ときに、「頭が痛い」という症状のみを訴えているにもかかわらず、
なぜかもろ肌脱いで、それはそれは素晴らしい刺青を
わざと見せる御仁もちらほらいる。

礼を失しない程度に、頭の症状からいって
もろ肌脱ぐ必要がないことを話して、
「どうぞしまってください」といい、
C型肝炎(HCV)の有無について尋ねる事にしている。
いまだにHCVを御存じない、「その筋の」方々も多く、
逆にHCVについて尋ねられたら、丁寧に説明して差し上げる。
調べてみると、古くに立派な刺青を入れた人ほど、まず陽性である。
ただし、筋彫りのみとか、小さい刺青とか、外人などの機械彫り、
はたまた最近入れた人たちは陰性であることが多い。
どうやらここ10年程前からは、
刺青をいれる針もディスポーザブルになったらしい。

いずれにせよ、HCVについて知った後は、
心なしか意気消沈させてしまうのが常である。
[PR]
by decoppati | 2004-12-27 01:36 | 脳外科の仕事

噂好き

医局の中で仕事以外の話といえば一にも二にも、
人の噂である。
それも常軌を逸していると思えるほど、
根も葉もない噂を創造しては
流すのに情熱を傾けている人がいる。
上司にうけたいという歪んだ上昇志向の賜物である。
幹部も若い医局員とうちとけたいと思って言うようだ。

大体、作話されるのは下品なネタや男女関係に関することである。
ときに上司の悪口を誰かがいっていた、といった
人事さえも左右する悪質なデマをとばされることもある。
ある意味で、女の医局員なんて、
簡単に面白デマ話が構築できるターゲットなので便利な存在である。

火のないところに煙はたたない、というが、
火がなくても煙が立つ全く恐ろしい噂大好き社会である。
やはり、年がら年中同じ面子で過ごさざるを得ず、
とりまく世界がものすごく狭まって、
第三者的に物事が見えなくなっているのも一因であろう。
よく言えば、ストイックに脳外科の仕事に完全に没頭・専念しているため、
他分野の人との付き合いや、趣味が理解できない、ともいえる。

たとえば、「decoppatiは、黒人と乱交してる」とか
「パンツはいてない」、とか、
「人事のことでお偉いさんに泣きついて、うまくやってもらった」、
「見る影もなく太って、小錦級になった」
とかそういうアホらしいことばかりである。

わたしは誰かの噂を聞いたとき、
最初に思うのは、また作り話だろう、ということだ。
自分に関することがまことしやかにいろいろ作られたのを知っているだけに
他の人のも鵜呑みにする気になれないからだ。

しかし、そうは問屋が卸さない。
意外にも、作り話をあまり疑わず、あるいは作り話と知って、
単純に噂話を楽しむ人は多い。
そういう人たちは、その話の真贋なんて最初から眼中にない。

自分のデマがとんだら、あまりの馬鹿馬鹿しさに
いちいち真面目に抗議する気もしないので
あまりにひどければちょっとは訂正するが、あとはほっとく。
あまり面と向かって真相について直撃してくれないので、
長年のうちに何故か医局内では
自分でない自分が一人歩きしてしまうきらいがあるが、
まあ、言わせておく。
大概は、悪意でなく、ただその場の悪ノリで言われているだけで、
別にいじめられているわけではない。

でも、医局に女の子が来たら、
一番げんなりするのはこれだろうなあ。
精神的な図太さは必要だと思う。
[PR]
by decoppati | 2004-12-26 23:43 | 男性医師の生態

長い手術のときの栄養補給

脳神経外科の手術の長さはまちまちではあるが、
頭蓋底の脳腫瘍の手術や、血管に富む腫瘍の手術では、
10時間を越えることもままある。
朝9時前から始まって午後7時に終わればまだいいが、
終わるのが夜半すぎということも時にある。

昼を抜かして働き続けることは、
手術以外でも多いので慣れてしまうが、
昼も夜も抜かして、手先に集中していると
かなり疲労してくるものである。

そういうときに以前よくやっていたのが、
夕方近くに看護婦に糖分のある飲み物を買ってきてもらい、
(或いは医局の秘書さんに届けてもらい)
通常はおしっこの管で使う尿道カテーテル(もちろん新品)の根元を
缶の飲み口に入れて、その先をマスクの中に差し込んでもらうというもの。
手は清潔なので使えず、器用に口を廻して
カテーテルの先をキャッチするわけである。
そこから飲む飲料は格別である。
糖分と水分が体に染み渡って、生き返っていくのを実感する。
現金なことにたったこれだけのことで、またやる気と集中力が回復し、
最後まで手を抜かずに手術を続けられるわけである。
最近は感染コントロールなどの問題で、多分廃止される方向であろうが、
缶一本をあんなにおいしく感謝して飲める機会は、
普通の生活の場ではまずないと思う。
[PR]
by decoppati | 2004-12-26 15:25 | 脳外科の仕事

困った人々

困ったチャン
夜、病院に時間外にやってくる人は、
本当に病気や怪我で困ってやってくる人が大多数であるが、
なかにはお騒がせの、本人自体が「困りもの」もまた多い。

一番多いのは、酔っぱらい。
通称「おおとら」である。
ろれつが回らず、意識がしゃっきりしてないのが、
酒のせいか、はたまた頭を打ったせいか判然としないため、
ちょっとかすった程度でも、
救急車に乗せられて脳外科にやってくる。
これがまた、周りが看護婦さんに医者も女ときたら
なめてかかること、すさまじい。
救急車でやってくるので診療せざるを得なくなるわけだが、
診察にも治療にも全く協力せず、かえって恫喝する始末。
また、「どうしました?」と聞けば、
こっちの体を触ろうとしたり、電話番号を聞いてきたり、
挙げ句の果てに
「ここが悪いんです。」とかいって股間を指さすなど、
やりたい放題である。

向こうが刃物や凶器を持ってない限り、びくびくしない。
下手に出るとかえってなめられる。
ただし、絶対にあとで揚げ足をとられるような言動はしない。
おぼろげながらでも覚えている可能性があり、
世の中変な人も多いので、あとでくだらないことを
病院にねじ込んでくることもあるからである。

徹頭徹尾、敬語を用いつつ、毅然として、
何をいわれてもやるべきことをしっかりやって、
全て必要なことはカルテに書き残すようにする。
暴れていて、家族も捕まらない場合、
検査でなにも病的なものがないのを確認さえすれば、
警察を呼ぶことができる。
一晩、トラ箱行きとなるのである。
[PR]
by decoppati | 2004-12-23 01:07 | 女性のハンディ

正月.2

レジデントと言われる2年目までは、
連休というものはほとんどもらえず、夏休みは2-3日、
年末年始には1日休みがもらえるのが関の山であった。
2年目の時、夏休み3日のところ、上司の機嫌が良くて、
「お前よく働いたから1日増やして4日休んで良いよ」といわれて、
天に昇るほど嬉しかったのを覚えている。
閾値が相当低くなってたみたいで、今考えると笑える。
今のレジデントはどこでも、一律最低1週間の休みがあるはずだ。

そんな、仕事を始めて1年目のときのこと。
東北のある病院で働いていて、
もちろん年末年始もずっと病院に居ずっぱりになっていたのだが、
そこの院長が突然、元旦だけ一日休みをやる、といってくれた。
ただし、
「正月に親の顔を見ない奴はろくな奴じゃないから、
 是非親の顔を見てこい」との事だった。
うちの親はと言えば、その年末年始、
脳天気にも家族で京都に遊びに行って滞在中だった。

ばか正直なわたしは、たった一日の休みにもかかわらず、
その東北の街を元旦の朝に出発し、
遠路はるばる、乗り継ぎ乗り継ぎ、京都に行った。
6時間かけて到着した京都はすでに午後2時頃で、
気を利かせた親が早い夕食を5時にセットしてくれて、
どうにか一緒に夕食をとり、ダッシュでまた6-7時間かけて
深夜に赴任地に戻った。そしてわたしの大事な休みが終わった。
こんなことなら、休みなんて要らなかったと本気で思った正月であった。
[PR]
by decoppati | 2004-12-23 00:02 | 脳外科の仕事

正月.1

どこの科であっても、勤務医である限り当直はつきもので、
特にゴールデンウィークや正月のような連休には
少なくとも2日以上の当直が科せられる。
毎日うちに帰れる仕事に憧れるのはそういう時である。
どんなに遅くなっても、自宅にたどりついて
自分のベッドで寝られるなんてささやかながら極上の贅沢といえる。

正月当直の一番の苦労は、食べ物。
普段でも当直中は病院から一歩も外に出られないため、
ご飯は普通外からとることになる。
(通称、「当直めし」と呼ぶ、病院のまかない食が
 用意されていることもあるが
 例外なく勤労意欲をそぐような物体である。
 従って、元気良く働くためにはなにか外からとったほうがよい。)

正月、特に元旦は外食産業も休みであることが多く、苦労する。
みんなが家族で楽しく浮かれてるときに
寂しく間断なく働くだけでも滅入るのに、
しょぼいご飯を食べるとか、空腹でいたら、もっと滅入る。
この時期は繁忙期であるため、お菓子やカップラーメン、餅などを
正月の非常食として備蓄しておく医局もあるが、
しょぼいことこのうえない。
来年早々の元旦当直の際にせめておいしいものにありつけたら
どんなに手術が多くてもやる気まんまんになるのだが。
[PR]
by decoppati | 2004-12-22 23:44 | 脳外科の仕事

冬は脳外科の季節!

どこの施設に行ってもいえるのは、
冬は脳外科の手術数が明らかに増えるということ。

なぜか。
思い出すと、子供の頃、
実家の近所のお年寄りがクリスマスから正月にかけて
トイレの中で倒れていたとか、死んでいたとかいう話を良く聞いたものだ。
それが運ばれてくる先が、脳神経外科だったのだ。
寒いと血圧の変動が大きくなることに関係して、
脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血などが発生することが多い。

もひとつは、12月・1月は忘年会、新年会で
泥酔してもとことん飲む人が多く、
そこらじゅうで轢かれたり、転んだり、
階段から落ちたりすることに起因する。
手術を要する頭部外傷が明らかに増えるのである。

ちなみに秋の風物詩は柿の木からの転落である。
柿の木は折れやすく、じいさんたちがそう知りながら
何故か、懲りもせず上っては折れて落ちて頭を打ってやってくる。

ついでに1月の「もちつまり老人」も、毎年懲りずに必ず数人やってくる。
3ヶ日はもちろんのこと、中旬すぎてもやってくる。
ま、患者のほうは毎回違うのだから、懲りようもないわけだが、
どうして小さく切るとか、食べないようにするとか、家庭で注意するとか
できないのかがちょっと不思議である。
[PR]
by decoppati | 2004-12-21 18:31 | 脳外科の仕事