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アリバイ作り

携帯電話が普及してきても、
なかなか持ちたがらない人が意外と多かったのは、
病院からつすぐつかまるのがいやだったから、
というのが理由かと思ってたら大間違い。
奥さんに行動が筒抜けになるのを恐れてた人、結構いた。

反対に、病院でことが起こったとき、携帯持ってなきゃ、
自宅に電話するわけで、
奥さんがでて「主人は病院じゃないんですかっ?!」って
逆に気色ばまれて仕事が増えることもよくあった。

当直だとうそぶいて奥さんに探し回られている先輩もいた。
そこにいない先輩にかわって、
うまく口裏を合わせ、うまいアリバイを準備できる奴ほど、
できるレジデントと重宝がられた。

観察していると、
浮気慣れした用意周到な人は、病院をかませて行動する。
携帯は病院の机の上に置いておく。
スイッチを切っているとばれるから、かかってくると鳴りっぱなし。
もちろん病院に奥さんから電話がかかってくることとなる。
しかし病院に残ってる後輩に頼んであって、
うまく「手術中」とか「患者家族に説明中」とかといっといてもらう。
後輩のほうは彼がどこにいるか知ってたり、
あるいは彼から電話が定期的にかかってくるので
奥さんから電話があったことを伝える。
彼はどこにいても、とりあえず病院に戻ってくる。
そしてわざと病院の電話で家に電話する。
殺し文句は「これから朝まで手術だー」。
安心しねぎらう奥さんの声を背に、
ホクホクと再び遊びに出かけられる。
この間、どっかで待たされている相手にも脱帽である。
立派なアリバイ作りである。
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by decoppati | 2005-10-29 02:30 | 男性医師の生態

専門医試験

脳外科としての経験を6年積んだと認められると
日本脳外科学会認定の専門医試験を受ける資格が得られる。
いまとなっては、
さらに細分化した分野での試験が林立しはじめたので
この専門医試験の存在意義がどうなるのか不透明ではあるが、
受験者中、合格率6割程度のいじわるな試験として
他の科にまで勇名を馳せている。
(最近は合格率もっとあがってる)

大学や医局によっていろいろ差はあるようだが、
うちの医局の場合は5年目になると必ず大学に戻され、
約1年間なんやかんやかわいがられることになってる。
これまで落第する者がほぼ0で、
一発合格が当たり前の医局でのプレッシャーは非常に大きい。
はっきりいって、カンファレンスでねちねち聞かれることは
諸説紛々あるものが多く、オタッキーすぎて試験にはでない。
まあ、通過儀式みたいなもんである。
試験前の約2ヶ月は通常のベッド持ち(入院患者の担当)を免除され、
外来、当直、医局行事のみがdutyのいわゆる「bed free」となる。

一緒に受ける同級生たちと、朝から晩まで、休みの日も、
大学の研究室に閉じこもって勉強に明け暮れるもの、のようであった。
情報や勉強の進行度を知るため、日頃たいして仲がよくなくても
むりやり同級生と一緒にいて、腹をさぐりあうもの、にみえた。
受験生のときには楽しい行事や飲み会にも
極力顔をださないもののようだった。
いろいろな疾患をまとめた「ノート」なるものを作るのは当たり前、
しかもそれを厚くすればするほど勉強した証となる、みたいだった。

私は大学受験、大学在学中、医師国家試験のときも、
ずっと試験勉強といえば、
自分の好きなように気の向いたままやってきた。
久しぶりの本格的試験である専門医試験を前にして、
初めて人からいろいろ押し付けがましく
「こういうものだ」といわれ、
実際、型にはめようとされるのは本当に不愉快だった。

どちらにせよ、
したいときに好きな勉強をして、好きなだけ遊んで、
要領よく過ごしても肝をはずさなきゃ受かるのだから、
嫌なことを我慢する必要はない。
結局、自分の居心地のいいところで勉強し、
オペラやコンサート、ドライブ、会食などにも出かけて
楽しくbed freeを過ごした。折角の自由時間なのだから。
試験には合格した。
わたしは超禁欲的になって目的を達することはできない。
やはり楽しみがないと。
尻に火がつかないと。

それはそうと、それから時が過ぎ、
受験生の気質も変化しており、
段々、思い違いしてる輩が目立ってきた。
やれ、試験前の1ヶ月は当直も免除して欲しいだ、
最低限の日中の仕事もしたくないだ、
うだうだと文句が多い。
大体、文句言ってる時間自体が長いんだよね。
文句言ってる暇に体動かしたほうが早いって。

専門医試験は自分のために受けるのであって、
本来は医局のメンツのためではないし、
先輩のためでもない。
自分が試験を受けるせいで、仕事量を若干軽減するべく
他の医師たちが気を使ってくれることに感謝することはあっても、
「こうしてくれなきゃ、落ちますよ。落ちたら医局が恥ずかしいでしょ?」と
さらに楽な待遇を要求し、脅すのは筋違いとしかいいようがない。
過酷な状況でも勉強しようと思えばできるし、
できなきゃ、自分の能力の無さを恥じたほうがいい。
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by decoppati | 2005-10-28 23:46 | 脳外科の仕事

当直あれこれ

うちの科の場合は10年目過ぎても
まだ月8-12回の当直をこなすことがよくある。
当直1回とは、すなわち、
朝、仕事に行ったままずっと病院にいて、夜も呼ばれたら仕事をし、
また翌朝から仕事をして、
その日の通常業務が終わったら帰れるってやつである。
通常、所属している病院での当直はdutyであり、
疲労が大きい割りに
extraの報酬はたいして望めない。
研修のために一緒に泊まる後輩に晩御飯御馳走する慣わしがあり、
そっちの支払いのほうが当直費を凌駕してしまうこと、
実はしばしばであった。

外勤と呼ばれる自分の所属している病院以外に
一週間に一回(一晩)とか、
月に一回の土日(週末)とかという単位で働きに出されるときは
一回いくらという相場が存在する。
これは、まあまとまったお金になる。
本当は、労働と報酬の両方について吟味すべきであるが、
当科の場合、俗に言う「おいしい」当直はまず、ない。
仮にあったとしても、当然、年かさの行った人が独り占めだろう。

報酬が高いのは、夜じゅうずっと呼ばれっぱなしで、
夜間外来にわんわんと患者が押しかける病院だし、
あまり起こされないし、比較的落ち着いているのは
郊外の辺鄙なところにある病院だったり、
しかも報酬がすごく安かったりする。

「おいしい当直」とは、
夜に眠る時間が十分確保でき、
しかもお金もそこそこもらえる当直である。
利便性の高い場所にある病院ならさらによい。

一般外科とか内科のDrからは、
その類いの甘い話を結構聞くけど、
とんとうちの科にはまずありません。
(多分整形外科も暇な当直はあまりないのでは?)

なぜなら、脳外科の医師が非常勤で夜の当直してると、
そこの病院がその地域のその日の
脳外科当番という様相を呈する羽目になり、
自ずと救急車が頭部外傷や脳疾患が疑われるケースを
集中して連れてくるからなのである。

かくして、当直とは、
商売繁盛なんかもってのほか、
客の来ないこと、少ないことを真剣に望んでしまう
因果な業務なのである。
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by decoppati | 2005-10-11 01:28 | 男性医師の生態