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当直のときの過ごしかた

当直のときの忙しさは病院によって大幅に異なる。
脳外科のない病院の場合、
当直帯に患者に相談に来るように
宣伝しているところもあって忙しいこともあるが、
施設がないため手術ができないためおおむね平穏である。
三次救急や二次でも周囲に他の病院がないところは
いわずもがなで、いつなんどきなにがくるかわからない。
外来がコンスタントに来て、挙句、
重症が重なったり手術したりして一睡もできないことも多い。

救急車が来るのを事前に医師に知らせない病院もあり、
その場合、トイレにいたり、御飯を食べてて
突然、呼吸停止した人がきてまーす、
とかいわれて慌ててダッシュすることさえある。

看護師さんと違って医師の当直は院内待機であり勤務帯ではない。
大体、朝から働いてそのまま夜当直をして
さらに朝から普通に働いてその日がまた当直じゃなければ夕方帰る。
というわけで、その待機の間、仕事以外のことをしていても許される。
ただし軟禁状態なのでスペースは限られている。

それでも一般的なのは、仕事の残りを片付けること。
論文を書いたり、勉強をしたりするのが正しい過ごし方かもしれないが、
途中でバンバン呼ばれる施設では集中できず効率が悪い。
というわけで、他の過ごし方といえば、
DVD鑑賞、インターネット、TV鑑賞、読書などが多いか。
ただ寝るっていうのも正しいと思う。

昔、レジデントの頃、外勤で行っていた当直先は
まさに突然重症患者が運ばれてくるところだった。
まとまって勉強できるところではなかったので
サックスの練習にいそしんでみた。
当直室が病棟と階が違って離れていたし、
浅知恵で防火扉を閉めたりして防音したつもりだった。
かくして、一階にある救急外来に呼ばれていくと、
患者が看護師に「ラッパが聞こえるねー」と話していたり
看護師に「今まで音楽が聞こえたんだけど止まっちゃいましたね」と
いわれたりして気がついた。実はまる聞こえだということ。
しかし自分だとは気付かれていないという不思議さ。
誰も憤っていなかったのはいい時代だった。

その後、反省して当直ではブルースハープに転向。
サックスよりずっと音が小さく、
白衣のポケットに入ってしまう携帯性のよさ。
さらに減煙にもなるなどいいとこばかり。

その他、最近ではDVDとともにヨガをやることもある。
普通の日にやろうとしてもなかなか時間を作らないので
定期的に当直のときにやるのはよかった。
ただし、年のせいか運動不足か、
突如コールがきても尋常じゃなく息が切れてたりするのが
人からみてかなり変だと思う。
今流行のBoot Campなんかやったら
もっと息がきれて、汗かいて、顔が上気したりして
さぞや様子がおかしいだろう、患者からみたら。
まだ着手する気にならないが。

大体の場合、終わってみると
こんなことしてた後に忙しくなって、
あんなことせずに寝ときゃよかった、と思うこともしばしば。
すでにこんな生活を十何年やってても学習効果なし。

というわけで若干人目を気にしながら、
軟禁生活の充実を図っていくのである。
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by decoppati | 2007-08-12 22:32 | 脳外科の仕事

今の研修制度をのりきるには

3年前から初期臨床研修医(レジデント)制度が大改革されて、
大学をでて国家試験に受かった後も、
いろいろな科を廻って研修しなければいけなくなって、
現場でのレジデントの存在意義が大きく変わってしまった。
以前はスーパーローテーション希望の例外を除いて、
大学卒業時に自分の進みたい科を決めて
その科かその科指定の基礎研修に入るのが通例だったため
1年もすればその科のことはだいぶ仕切れるようになったものだ。

今は1-3ヶ月程度でぐるぐる科を廻るので
レジデントがとりわけ得意な分野を作ることが難しい。
昔のように仕込めば仕込むほど、
自分たちの仕事が楽になるものではないことから
先輩医師が本気になって教えてくれることも少ないのだという。
その代わりいろいろな疾患を直に学ぶことができたり
いろいろ経験できるところが利点とされている。
実質、どこの科でもお客様のように扱われているようにも見える。
だからぐうたらな研修医など手を抜いてさぼっていても
真面目に怒ってくれる人もおらず、ぼーっと研修を終えることもできる。
その結果、どうなっていくのか、考えると空恐ろしい。

ただ本来はやはりやる気に満ちた研修医のほうがずっと多いわけで、
彼らが先輩医師からチャンスをもらえないといって
焦っているのをみると胸が痛い。

そんなときちょっとしたアドバイスをすることがある。
① 以前と違って同じ病院とはいえ頻繁に環境が変わるので、
   研修医のことを誰も認識できないことが多い。
   誰とは知らない人がぼーっと立っていても声を掛ける気が起きない。
   知らない職員にもはっきりと挨拶をする癖をつけると
   かなり印象がアップする。
   研修医〇年目のダレダレと名乗るのがキーポイント。

② 沢山研修をしたいのであれば、とにかく足で拾うこと。
   他の医師がしていることを見に行く、
   なにか処置や手術があれば見に行く、
   自分の廻っている科以外でも
   珍しい処置や手術があればちゃんと話を通した上で見学する、
   なにもなくても病棟で仕事をみつけてしていれば
   なにか起きることもある。
   熱心に見にくる人にはいろいろ経験させてあげたくなるものである。
   暇なときは救急外来あたりをぶらぶらしてみると
   なにかしら研修のネタが拾える。

③ 研修医の間は医師になったばかりで気負いすぎていることがある。
   看護師からの依頼などを安請け合いするのは厳禁。
   自分だけの考えでは危険を招く。
   任されている以外のことは必ず指導医に声をかけること。
   独りよがりな研修医にはチャンスはなかなかめぐってこない。

④ 自分の進みたい科が決まっている場合、
   その科以外を疎ましく感じてやる気を失う人もいるが、
   どの科でもその科となにかしらの関連をもった領域があるはず。
   そこのところを突き詰めてみるときっと将来ためになる。
   たとえば、脳外科に入りたい人。
   内科、外科、放射線科、麻酔科研修はいうに及ばず。
   小児科では小児の管理や大泉門からのエコー操作を学んだり、
   産婦人科でテンカンや脳疾患をもつ妊婦の管理や
   妊婦への投与禁止薬物など。
   とにかくこの制度となっているからには、
   どうにかして無駄のないように過ごして欲しい。

⑤ 手技的なことを学びたい場合、
   基本である縫合や、糸結び、糸縛りなどは
   どこでもシュミレーションできるのだから
   本番に備えて練習しておくといい。
   本番でうまくできれば次もよんでもらえるが、
   基礎的なことを怠るひとはただの足手まといであり、
   次のチャンスはなかなか廻ってこない。

なんだかんだ2年の研修が終わってみれば
医師としてだいぶ力がついてくるわけでむやみに焦る必要はない。
問題の多い制度とはいえ仕方がない。
どうにか有意義に乗り越えていただきたいと思う。
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by decoppati | 2007-08-12 21:34 | 脳外科の仕事