「ほっ」と。キャンペーン

<   2007年 09月 ( 1 )   > この月の画像一覧

子供の受診を希望する大人

特に子供の場合、
病院にかかるかどうかは本人ではなく、
周りの大人たちの裁量によるわけだが、
こと頭となると、
ちょっとうったとかちょっと切ったというだけであっても
大人の心配が募るようで
とにかく脳神経外科外来には子供がよく連れてこられる。

連れてくる大人の心配も重々承知しているので
来院すれば診察や消毒、縫合などの処置、
必要があれば検査などを施す。
傷などはたいてい、
これが膝なら病院には来ないだろうと断定できるほど、
ささやかなものだったりする。
むしろ親に安心を与えることが主体となる。

連れてくるのは、
両親、祖父母、子供の友人の親、幼稚園・学校の先生などだが、
往々にして親が不在のときに起きた頭部外傷で
預かっていた人が連れてくることが多い。
この数年でほんの1mmの傷でも
若い親が慌てふためいて連れてくることが本当に多くなった。
頭をうったわけでなく、
ちょっと擦ってかすり傷をほんの少し負っただけでも
救急車でくるなんていうのも珍しくない。

ひどいのは、元気いっぱいニコニコしてる子供をつれて
目を離したすきに転倒したのでどこも痛がってはいないが
頭を打ってるかもしれないので救急車を呼んで、
「打ったかどうかみて欲しい」という母、案外多い。
頭部外傷の事実が明確でないうえ、
打ったことを示唆する症候(腫れ、発赤、傷など)や
症状(頭痛、嘔気、嘔吐など)が全くないなら
診察を必要としないことは明らかである。

以前なら近くに相談できる子育て経験者がいて安心できたものを
核家族化と近所付き合いの希薄化のためか
孤立した夫婦が客観性を失って病院にやってくるように思う。
なによりも小児の医療費が無料となっている自治体では
なんでもかんでも容易に受診する傾向がある。
母親同士の情報交換で
タダなんだから使わなきゃ損という気風が見受けられる。
また、小児だというだけで、
診察の順番を早くしてくれて当然といった
誤った特権感情があり、
全く状況を勘案せずにクレームをつけてくる親が多い。

一方で脳内出血になってる老人を
家族が一般車で一生懸命連れてくる。
「救急車をやたらめったら呼んじゃ申し訳ないと思って」
という人ほど、本当は救急車で来ていただきたい人だ。

日本人が元来持っていた他人への配慮、
社会秩序の尊重などの美徳は
このまま失われてしまうのだろうか。
[PR]
by decoppati | 2007-09-09 05:18 | 脳外科の仕事