医師の重要な仕事のひとつとして当直がある。
朝から働いたうえに、夕方から病院で泊まって、 夜中や明け方になにかあるのに備えており、 外来を診たり、処置、手術などの治療をする。 もちろん翌日も朝から通常通り働く。 レジデントのときはこれを月に20日以上する。 丁稚なので上の医師にくっついてなんでも観て、 教えてもらって、覚えるわけだ。 こういうこと自体は、 上の人が誰でも通った道なので別になんとも思わなかった。 しかし、唯一そして最悪の苦難は寝場所の確保だった。 女性の先輩がいないため、わたしの医局には女性の当直室がなかった。 入局のときに、教授のほうから当直室を作っておくから、と誘ったのだが。 男性医師用には何人かが寝られる大部屋があった。 先輩から、院内でなにか過ち(!)があると困るので 絶対にそこでは寝ないようにと厳命された。 寝られるのは、廊下に置いたストレッチャー、 処置に使う診療室の硬いベッド、 運がよければ女医さんの多い麻酔科2人部屋の空いてるベッドに もぐりこむことができたが、麻酔科の女医さんには嫌がられた。 夜中でも明け方でもポケットベルが頻繁に鳴るからうるさい、といわれた。 現場に行くのはわたしなのに。 ベッドで寝ている同じ科の同級生がうらやましかった。 レジデントの仕事は多いので、 文句をいう連中が多かったが、 それでも、ベッドで寝られるなんて幸せだと思った。 口に出すのは悔しかったので、黙ってた。 その後、2年目になって自分で麻酔科の教授に直談判して トップダウンでベッドを確保した。 今に来る後輩に同じ思いをして欲しくなかった。 ただでさえ、疲れるんだからちょっとでも楽をしよう。
by decoppati
| 2004-11-29 20:09
| 女性のハンディ
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